研究会活動

テーマ;東京地裁平成26年5月15日判決(日経平均オプション取引)

開催年月日 平成26年8月21日  報告担当:西野里奈弁護士

報告内容

【事案の概要】
 被害者は30代男性の個人事業主で、当時の年収は120万円であった。被害者は、投資経験がない状態で他の証券会社で日経平均オプション取引を始めたが、その3カ月後に担当者があかつき証券に移籍したため、同証券に口座を移し同取引を継続した。
 平成23年3月11日に東日本大震災発生で日経平均が大暴落したが、3月14日の取引開始時点では証拠金約1700万円あり、担当者から「ぎりぎりだけど何とかなるだろう。なにかあれば連絡する。」と言われた。しかし、3月14日の市場が終わってから、追加証拠金が約800万円必要との連絡があったが、用意できず、翌15日に決裁が強制され、約2600万円の追加証拠金が出た。
 あかつき証券から2600万円の立替金請求の提訴を受け、被害者からは適合性原則違反・説明義務違反などを理由に損害賠償請求の反訴を提起した。よって、あかつき証券が原告、被害者顧客が被告となっている。

【判決内容】

1 商品特性 日経平均オプション取引について、「投資者保護のための一定の制度的保障及び情報環境が整備されている」とはしたものの「各種金融商品取引の中でも極めてリスクの高い取引類型である」と認定。

2 適合性原則 「投資経験が全くなく、その知識もない・・・被告に対し、損失無限大の可能性がある売り取引を含むオプション取引の勧誘を行ったものであり、被告のGストックにおける経験もAの助言による売り取引に偏ったものであったことは、Aら原告担当者も承知していたところであって、原告担当者の行為は、適合性の原則を逸脱するものであった」と適合性原則違反を肯定。

3 説明義務違反 「被告の自己責任において適切な投資判断をすることができるよう、日経平均オプション取引の商品特性やリスク等を充分説明してその理解をさせるべき義務を負っており、その説明に際しては、上記取引の複雑な商品特性及びその極めて高いリスクに照らして、具体的な数値を用いて損益をシュミレーションするなどの方法を採るべき義務があった」としたうえで、説明義務違反を肯定。

4 過失相殺 5割

【報告者のコメント】  被害者の属性(投資初心者)、オプション売り取引のリスクの高さ、研究会を通じての情報交換、類似判例(大阪地裁平成25年4月22日判決)が出たことなどが、勝訴に結びついた。