研究会活動

テーマ;仕組債訴訟における分析業者の活用について/証拠として提出した分析結果報告書の整理・考察

開催年月日 平成26年2月13日  報告担当:今井孝直弁護士、古川幸伯弁護士 

報告内容

仕組債訴訟における分析業者の活用について(今井孝直弁護士) 

デリバティブ分析業者に仕組債の分析を依頼する場合、裁判でどのように活用するかについて、担当する事件で証拠として提出した分析結果報告書(*)を素材として報告があった。

(*)依頼先分析業者としては、アップフロント社とR&Pテック社などがある。

具体的には、

・分析依頼事項をどのように設定するか

・分析結果をどのように主張書面に反映させるか という点について、依頼する際の分析業者とのやりとりや分析結果報告書(私的鑑定)を基にした主張書面の作成時に留意した点などを報告していただいた。

この報告を受けて、

①金融工学手法による取引分析・リスク分析を私たちの主張・立証活動に活用することの意味(位置づけ)と是非(*1*2*3)、

②活用する場合の分析依頼事項の設定内容

③分析結果におけるリスク評価の限界あるいは制約(例えば、重要である「流動性リスク」の評価が含まれていないこと)

④依頼する場合の分析(依頼)事項の設定内容

⑤分析結果報告書を原告主張に援用する場合の注意点(特に「絶対視」してはならないこと)

などについて議論が行われた。

また、取引分析・リスク分析を分析業者に依頼する以外に、弁護士自身が、株価・為替変動などの過去データと「エクセル」を用いて分析する手法(*4)があるが、それらの比較なども議論された。

(*1)主張・立証対象としては(a)理論価格(当初価格)と(b)金融庁・監督指針に言う「最悪シナリオの想定最大損失」がある。

(*2)前者(a)については、専門業者による分析結果報告書における「理論価格(当初価格)」それ自体が持つ意味(位置づけ)について様々な意見がある。しかし、その重要性につき、日銀資料(☆)や桜井報告@仙台大会(全国証券問題研究会)が参考になる。後者(b)については、分析結果が前記「最悪シナリオの想定最大損失」とどのような関係(位置づけ)にあるのかについて様々な意見がある:例示として有効とする意見はそのひとつ。 ☆http://www.ffr-plus.jp/material/pdf/0004/market_risk_management_05.pdf

(*3)活用の「是非」について、金融工学的手法は言わば「業界標準」なのでそれなりに有用とする意見がある。他方、採用数値が異なれば結果も若干異なることから、証券会社が同手法によって算出した「理論価格(当初価格)」を証券会社から提出させることが必要であるとする意見もある。

(*4)株価・為替の過去データに基づき「ノックイン価格水準」に到達する確率を算出すると言う比較的単純なものだが、金融工学に不案内な素人=法律実務家でも、比較的容易に算出することが可能で、その検証も容易であるところに、法律実務での有用性が認められる。

証拠として提出した分析結果報告書の整理・考察(古川幸伯弁護士)

これまでに訴訟で提出した分析業者の報告書の内容についての「一覧表」の紹介があった。

仕組債(日経平均連動債、EB、為替連動債)や通貨オプションの事件で証拠として提出された報告書の分析項目を比較したもの。

主要な分析項目:理論価格やノックイン確率・満期償還時の期待値(元本割れの程度)などについては、分析業者や依頼弁護士の別異によって大きな違いはなかった。