研究会活動

テーマ;東京地裁平成25年7月19日判決報告(日経平均2倍連動債)

報告者:吉岡康博弁護士(当会会員)
東京地裁平成25年7月19日判決報告(日経平均2倍連動債)
(証券判セ第46巻に収載予定)

報告内容

第1 事実関係

1 原告の属性
昭和28年生まれの専業主婦の女性。
2 本件仕組債及びそれに先立つ仕組債の勧誘
担当者から勧められて日経平均2倍連動債(本件仕組債)5000万円を購入。その後,日経平均が下落し,約277万円の償還を受けた。
3 本件商品(仕組債)の内容
別紙のとおり

第2 裁判所の判断

本件仕組債の仕組み(商品性及びリスク評価手法)について詳細に認定した後,適合性原則違反及び説明義務違反を認めた。過失相殺は5割。

1 適合性原則違反 被告は,プットオプションの売り取引による損失負担のおそれがあり,しかもその損失が日経平均株価の下落率の2倍のレバレッジをもって拡大する性質を有するという顧客にとって重大なリスクを伴う本件仕組債の買付けの委託を受けるにあたって,オプション取引の経験もなく,そのリスク評価の手法も全くわからないまま,専業主婦の原告に対し,金融資産の大半に当たる5000万円もの集中投資を本件仕組債にさせたのであるから,適合性原則に著しく反する。

2 説明義務違反 オプション取引のリスクの特性及び大きさを金融工学の専門家として熟知している証券会社である被告及びその従業員は,オプション取引の経験がない一般投資家に過ぎない原告に対し,実質的にプットオプションの売り取引による損失リスクを負担させる金融商品を勧誘するに当たっては,金融工学の常識に基づき,他の金融商品とは異なるオプション取引のリスクの特性及び大きさを十分に説明し,かつ,そのようなリスクの金融工学上の評価方法を理解させた上で,オプション取引によってボラティリティ,ノックイン確率ないし確率的に予想される元本毀損の程度などについて,顧客が理解するに足る具体的で分かりやすい説明をすべき信義則上の義務があったにもかかわらず,原告に対し,本件仕組債の購入を勧誘するにあたり,そのような説明義務に違反した過失があったというべき。

3 損益相殺及び過失相殺 損益相殺はされなかったが,先行する2回の仕組債により利益を得ていることを過失相殺において考慮された。