研究会活動

テーマ;「東証銀行業株価指数連動仕組債」の被害事例報告

開催年月日:平成24年10月11日

報告者;浅野永希弁護士(大阪弁護士会)

報告内容

1. 事案の概要 

X(60代男性)は、Y証券会社の勧誘を受け、本件仕組債(東証銀行業株価指数連動仕組債・満期4年)を購入した。その半年後に東証銀行業株価指数が ノックインレベルに達し、その後も金融指標は回復せず満期時までに大幅に下落したため、満期償還額は0円とされ、Xは代金全額の損失を被った。
 本件仕組債は、ノックインすると、下落率の2倍の割合で元本が欠損するハイリスクな商品であった(下落率25%→50%欠損、50%→100%欠損)。

2.訴訟上の主張・立証

現在訴訟係属中であり、錯誤無効に基づく代金返還のほか、不法行為(適合性原則違反、説明義務違反)に基づく損害賠償を求めている。
そして、商品性(リスク)について立証するために、浅野弁護士自らが、東証銀行業株価指数終値の過去データを基礎に確率計算したということである。具体的には、29年分の東証銀行業株価指数終値過去データを基礎とし、ある一定の日から4年の間に、金融指標が
①本件仕組債のノックインレベルに達するケース(=30%以上下落)
②元本がゼロになるレベルに達するケース(=50%以上下落)
の数を前記データのすべての日付について順に検証しててその数をカウントし、その数が全体に占める割合を計算した確率を出したということである。
さらに、デリバティブ等の評価を行う専門業者に依頼し、
①本件仕組債の理論価格
②最終満期償還確率
③ノックイン時の償還元本
④償還元本がゼロとなる確率
などを算出してもらったということである。

3. 当日の議論など

最近の仕組債やデリバティブの訴訟では、商品性(リスク)を立証するために、弁護士自ら、あるいは、専門業者に依頼して、確率計算をし、それを証拠として 提出するケースがよくある。これに対しては、被告証券会社から、市場パラメータの数値の取り方次第で、計算結果は大きく変わるなどという反論がなされてい る。
このような確率計算の結果を、違法論(適合性原則違反や説明義務違反など)との関係で、どのように位置づけ、どのように用いていくのかが、私たち投資家側代理人にとって重要な課題である。