研究会活動

テーマ;銀行のデリバティブ取引についての報告

開催年月日:平成24年9月27日

報告者;鈴木さとみ弁護士(東京弁護士会)

報告内容

1. はじめに

今回の研究会では、かつて勤務していた銀行でデリバティブ取引にディーラーとして携わった経験のある鈴木さとみ弁護士(東京弁護士会)から、デリバティブ取引の実情についての報告があった。

2.取り扱っていた金融商品(金融取引)

当時、①現物国債②債券先物③債券店頭オプション④国債先物オプション⑤金利スワップ⑥金利先物などの金融商品(金融取引)を取り扱っていたということで、その内容の説明があった。

3. 自己売買と対顧客取引

ディーラーとして行う取引には、マーケット・メイカー、スペキュレーター、アービトラージャーとしての取引があり、マーケット・メイカーが対顧客取引を行い、後二者が自己売買を行うということである。
対顧客取引において、顧客との取引が成立すると、新たなポジションが発生するので、①それを他の業者に反対売買をしに行ったり、②儲かると思えば自分で持 ち続けたり、③他の商品で反対ポジションを取ることによってヘッジしたりしていたということである。
そして、実際どのように取引をしているのか、「X銀行のオプション・ディーラーAは、営業部門のBから、Y生命保険会社が長期国債324回債のコールを売 りたがっている」という実例をもとに説明があった。ディーラーAがどのように考えて計算し、コールオプションの条件を設定しているのか、取引が成立したこ とで持ったポジションをどのような考えや方針のもとでヘッジしているのかが理解できた。

4 リスク管理(リスクコントロール)

ディーラーは、パソコン上で常に現在のポジションがわかるようにするとともに、シュミレーションもできるようにしており、また、日々、日報という形でポジション、(市場)リスク内容が算出されて報告されるということである。
市場性リスクの管理は、ディーラーのいるフロント・オフィスだけでなく、ミドル・オフィスでも行い(さらにバック・オフィスでも)、
①BPV(評価金利が1ベーシスポイント(0.01%)変化したときの、時価評価額の変化量)、
②VaR(過去のデータに基づいて将来の一定期間のうちに被る可能性のある最大損失額を一定の確率を設けて統計的に推定したもの)、
③ストレステスト(マーケットの不測の事態が生じた場合に備えて、ポートフォリオの損失の程度や損失の回避策をあらかじめてシミュレートしておく管理手法)
などをもとに管理しているということである。
VaRやストレステストの管理手法は、金融庁が出した「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」に相通ずるものがある(本ホームページの「公開資料集」ご参照http://www.osakashoken.org/shiryou.html)。
(*)BPV:ベイシス・ポイント・バリュー
VaR:バリュー・アット・リスク
以上